環境関連

LPG自動車の現状

  日本におけるLPGの消費量は、年間およそ2,000万トンであり、全消費エネルギーの約5%をまかなっています。LPG自動車については、タクシーを中心として全国で約30万台以上が走行しています。日本のタクシーは、95%がLPG自動車であり、その歴史は既に20年以上になります。充填所も約1,900カ所あり、LPGの総供給量の約9%の180万トンを消費しています。

  近年、小型トラックの分野にも各自動車メーカからLPG燃料の車種がそろえられつつあります。

  LPG自動車の低公害性については、低公害性の確認試験を日本LPガス協会が実施しています。数年の使用車で実施したところ、現行のLPG自動車の排気ガス規制値の1/10~1/5の良好な結果が得られているといいます。

  世界的にみても、LPGは自動車用燃料としてかなり定着し、世界中で総計650万台が走行しています。イタリアが105万台、オランダは47万台に達しており、韓国ではわずか2~3年で100万台も普及しました。現時点ではCNG車よりもLPG車の方が広く普及しており、LPG車は世界標準と評価することもできます。

英国エリザベス女王専用車もLPG自動車

  英王室はエリザベス女王の公用車、ロールスロイス「ファントム(5)」をLPG自動車に改造しました。女王の自家用車は4台あり、いずれも大量に燃料を消費する豪華な車です。改造は女王のたっての希望によるもので、王室ではファントムを手始めに全車を低公害車に改造する方針だそうです。

LPG自動車の特徴

  (1) 排気ガス

  LPGは完全燃焼するため排気ガス中の一酸化炭素(CO)量が極めて少なく、ガソリンのようにオクタン価を高めるための鉛化合物、硫黄分やベンゼンも少ないのでガソリン車やディーゼル車と比べると排気ガスがクリーンといえます。

  (2) LPG価格

  LPGは、ガソリンの価格と比べて十数年来ほぼ半額程度です。

  (3) 安全性

  LPG自動車は昭和37年頃から走行していますが、現在の固定式(ガス容器)になってLPG関連の事故例は未だ一件もありません。ガス容器の規格は、高圧ガス取締法という厳しい法律で定められています。

  (4) エンジン寿命

  LPGは、通常気体で使用しほとんど完全燃焼するため、シリンダー壁の潤滑油が洗い流されることや薄められることが少ないので、潤滑が完全に行われエンジン寿命が長くなります。潤滑油(エンジンオイル)も長持ちします。