環境関連

GTL燃料とは

天然ガス液体燃料化(GTL:Gas To Liquids)技術は、天然ガスの新たな利用形態として注目を浴びています。GTL技術により製造された燃料をGTL燃料(GTL fuels)と呼びます。

  天然ガスは、他の化石燃料と比べて、環境負荷が少ないクリーンエネルギーであるとともに、中東依存度が低いこと等から、石油と並び重要なエネルギーです。しかし、天然ガスは気体のため、液体燃料に比べて輸送・貯蔵が難しく、ガス田の開発に当たっては、ガス田の規模・輸送距離・需要先の確保等の条件がLNG化・パイプライン輸送に適合するプロジェクトのみに限られてしまいます。天然ガスから液体燃料を製造する新たな利用技術であるGTLは、これまで開発の対象とならなかった埋蔵量の比較的小さい未開発ガス田に対する新たな開発手法として期待されています。

  また、自動車排出ガスの低減対策のため、クリーンな燃料の必要性が高まっており、GTLにより製造されたクリーンな液体燃料が注目されています。なお、現在、マレーシア及び南アフリカにおいて、商業規模のプラントが稼働中であり、欧米主要石油企業等により新たなプロジェクトも検討されています。

  GTL技術の開発は古く、1923年にDr.F.FischerとDr.H.Tropschが合成ガスから炭化水素が生成するフィッシャー・トロプシュ合成(FT法)を発見したことに始まり、商業プロジェクトとしては、南アフリカでSasolが1955年より石炭を原料としたGTLプラントが稼動し、また1992年からMossgasが天然ガスを燃料としたGTLプラントが稼動を開始しました。南アフリカ以外では、Shellが独自の技術により1993年よりマレーシアBintuluにおいて天然ガスを原料としたGTLの生産を開始している。近年GTLが急激に注目を浴びるようになったのは、Sasol 、Shell、ExxonMobil、Syntroleum等によるGTL技術の革新により、液体燃料化製造コストが著しく低下してきたことに大きな理由があります。

  GTLを目的としたガス田開発が従来の天然ガス開発と大きく異なる点は、生産したガスを、LNGを含めたガスとしてではなく、石油製品、DME、メタノール等の全く別の形態で利用できることです。

  GTL技術からさまざまな合成油が製造できますが、自動車燃料としての関連性からみれば、FT軽油、DME(ジメチルエーテル)、メタノールが特に注目されます。