環境関連

ガソリンエンジンとディーゼルエンジン

乗用車として広く利用されているガソリンエンジンでは、厳しい排出ガス規制が、空燃比を精密に制御できる電子燃料噴射装置と窒素酸化物(NOx)も低減できる三元触媒を用いた排気ガス後処理装置の採用を促し、その結果若干のコストアップで馬力、燃費向上も実現しています。つまり電子制御式燃料噴射装置と三元触媒システムの組み合わせによって、エンジン内の燃焼条件を高精度に制御し、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)の三成分の大幅な低減を実現しています。ガソリン車では窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)の問題はディーゼル車ほど取り上げられません。(もっとも、二酸化炭素(CO2)排出の問題が将来的には大きく取り上げられるでしょう。)

これに対して、トラックやバスなどの中・大型車や商用車、RV乗用車に幅広く利用されているディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンに比べて高い圧縮比で燃焼させるので熱効率が2~3割上回っています。ディーゼルエンジンは多種燃料を使用可能な究極の高効率内燃機関として傑出したシステムであるという評価もあります。その反面、不均一な噴霧燃焼に起因して窒素酸化物(NOx)と黒鉛・微粒子(PM)が多く発生し、それらの後処理も難しいことから、大気汚染への影響度がガソリン車をはるかに大きく上回っているのが実状です。乗用車であれ貨物車であれディーゼル車の排ガス規制は年々厳しくなっていますので、それだけ改善されているとはいえますが、現時点ではガソリン車とはまだまだ大きな差が残っています。ガソリン乗用車には2000年から、ディーゼル乗用車には、2002年から適用されている新しい規制値同士で比べると、ディーゼル車とガソリン車の差は、3.5倍あります。貨物車の規制値は、重量別にいくつかに分かれていますが、新規制値同士で、ガソリン車とディーゼル車を比較すると、軽量車では3.5倍、中量車では3.8倍、重量車では2.4倍となっており、相当の開きがあることが分かります。

ちなみに、東京の大気汚染の主因は自動車の排ガスですが、中でも、ディーゼル車が出す排ガスは、東京の空気を汚す最大の要因になっています。走行量では2割にすぎないディーゼル車が、自動車から出る窒素酸化物(NOx)の約7割、浮遊粒子状物質(SPM)の 殆ど全てを排出しているのです。

このようにディーゼル車の排出ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)の低減は、まさに喫緊の問題です。