環境関連

空気1ppm(0.001%)の汚れ

一般的に私たちが1日に吸う空気の量は10~25・といわれ、空気1・の重さは約1.2・です。私たちは、1日に12~30・程度の空気を吸いながら生きています。言うまでもなく、空気は人が生きていく上で絶対必要不可欠なものです。その空気が綺麗だろうと汚れていようと、24時間、起きているときも眠っているときも、常に吸い続けています。

空気の主成分は窒素と酸素であり、平均的な大気組成(体積%)は、窒素78.08%、酸素20.95%、これにアルゴン0.93%を加えると99.96%となります(乾燥ベース)。そうしますと、残りの0.04%、すなわち400ppm程度が二酸化炭素を含めた汚染物質の量と推定されます。現在、二酸化炭素の大気濃度は350ppmです。大気中にはネオンなどの希ガスや水素、笑気などが常在成分として存在しますので、二酸化硫黄、二酸化窒素、ベンゼンなどの大気汚染物質の濃度の総計は浮遊粒子状物質を含めても50ppmを超えることはないといえます。

大気の話には、よくppmという単位が使われます。パーセント(%)は百分率のことで1%は1/100ですが、ピーピーエム(ppm)は百万分率のことで1ppmは1/1,000,000を意味します。

先ほど大気汚染物質の空気中濃度は最大50ppmを超えないという話をしました。これを百分率にしますと大気汚染物質は最大で空気中の0.005%を超えないということになります。

みなさんが日常よく接する常識的な「量」の感覚すれば、きっと微かな量にすぎないと考える方も多いのではないでしょうか。そのような微量にすぎない汚染物質が果たして、人間の健康や生態系に影響を及ぼすのだろうか疑問を感じてしまうのも無理はないかもしれません。

ところが、これまでの世界各地での大気汚染エピソードの解析から、二酸化硫黄濃度が0.35ppmを超え、浮遊粉塵濃度が1.2mg/・(約1ppm)を超えると死亡率の増加が顕著になることや、さらに二酸化硫黄濃度が0.5ppm以上、浮遊粉塵濃度が2mg/・以上(約1.8ppm)になると過剰死亡率が20%以上にもなることも分かっています。

これは大気汚染物質の空気中濃度が、たとえ1ppmであっても健康に重大な影響を及ぼす可能性があることを示唆しています。

ほんの少しと思える大気の汚れであっても、人間が健康に生きていく上で、また、地球が青い星であり続ける上では、重大な問題なのです。